富士山まめ知識
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日本一の山の気象をあなどるなかれ!
富士山の気象の特徴
山麓と山頂では天候や気温に大きな差!
富士山は、標高が3,776mの独立峰じゃ。
駿河湾や相模湾からの風と北側からの風が複雑に巻くため、高所では気流が安定しないのじゃ。過去には航空機の墜落事故を引き起こすほどの厳しい気象条件になっておる。
五合目などの山麓と山頂では、天候や気温に大きな差が発生し、さらに急変することもある。天候の急変に備えて装備を整えるとともに、登山開始前には必ず気象情報を確認するのじゃぞ。イマフジの気象観測情報のチェックもお忘れなく。
そして、天候が悪い時は登山を中止にする勇気も大切じゃ。
(ナビゲーター:いまふじぃ~さん)
気 温
月 |
平均 |
日最高(℃) |
日最低(℃) |
湿度(%) |
---|---|---|---|---|
7月 |
5.3 |
8.0 |
2.8 |
79 |
8月 |
6.4 |
9.5 |
3.8 |
75 |
9月 |
3.5 |
6.5 |
0.6 |
67 |
※気象庁から 気象観測統計・富士山(静岡県)統計期間:1991~2020年
上の表は富士山頂の30年間の平均気温を表している。7月、8月は5℃から6℃。
五合目と山頂との標高差があるため、気温差が大きく(標高差100m毎に-0.65℃)、山頂では夏でも真冬並みの気温となる。計算をすると、平地より山頂は25℃も気温が下がる。夏の登山でも防寒衣が必要。
また、同じ気温でも風が吹くと体感気温が下がる(風速1m毎に約-1.0℃)。
夏でも日の出前の時間帯には気温は0℃近くまで下がる。また、夏の開山期間でも気象条件によっては雪が降って積もることもある。
ご来光を待つ時間が長くなると、低体温症になる危険がある。
急な雨で衣類が濡れると体温が奪われる。下着は木綿性を避け、速乾性の化学繊維のものを着る。また、ゴアテックスなど防水浸透性素材の上下が分かれた雨具をお忘れなく。
風
富士山頂は、風速日本一の記録を持っている。
最大瞬間風速 91m/s (1966年9月25日、台風26号接近時の暴風雨による)
最大風速 72m/s (1942年4月5日、低気圧による)
※最大瞬間風速は瞬間的な風の強さ。最大風速は10分間の計測のなかの最大値。
富士山は日本で一番高い山であるため、高気圧や低気圧、そして台風などの風を直接受けやすい。しかも、標高が高いため、台風が遠くにあるときから風が強くなることがあり、注意が必要。
上述したように、風は体温を奪う。富士山の登山ルートには風を遮る樹林がほとんどない。徹底的に風にさらされる地形。山小屋に宿泊し山頂でのご来光のために夜間に登山をする場合や、雨天時などの登山では、体温を奪われないように全力を注ぐ。
特に雨と風が同時にやってくる天気のときは気象遭難に注意が必要。
風と濡れによる低体温症にならないために、体温低下を防ぐウェアの選択を重視。
そして、天気が悪化傾向にある際は登山を中止。
活火山
富士山は現在も火山活動を続ける活火山。
突発的な噴火などに備えてヘルメット、マスク、ゴーグル等の装備を持参することを推奨。
また、噴火警戒レベルには注意し、登下山中にレベルが引き上げられた場合には速やかに下山。
噴火警戒レベルについての情報については気象庁ホームページの「火山活動の状況(富士山)」をチェック。
参考文献
- 環境省 富士登山オフィシャルサイト
- まるごと観察富士山(鎌田浩毅 ISBN978-44-416-11370-7)